蟲狩り少女
狩り
あたしは自分が参加する種目の話がどんどん煮詰まって行くことにも気づかず、ただそう願っていた。


その時だった。


「容子、大丈夫か?」


そんな声が聞こえて来てあたしは朝口容子の方へ向き直った。


見ると幼馴染だと聞いた牧悟が朝口容子の異変に気が付き、心配しているようだった。


「……気が付いたんだ……」


普通の人間なら朝口容子の異変に気づく事はないだろう。


牧悟の、朝口容子への気持ちが『気づく』という形で現れたのかもしれない。
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