蟲狩り少女
恋愛感情
あたしはなんとか先生を屋上へ読んで光磨を保健室へと運んでもらった。


その間光磨はずっと目を閉じていて、名前を呼んでも反応してくれなかった。


「光磨……」


ベッドに横になり苦しげな呼吸を繰り返す光磨。


女子に人気のカッコイイ顔が、今は苦痛に歪んでいる。


その表情を見ていると自分まで苦しくなってくるのがわかった。


それでも、光磨の苦しみが少しでも理解できるような気がして、あたしは光磨から目をそらす事はなかった。


「……里音……?」


うっすらと目を開けた光磨が、小さな小さな声であたしの名前を呼んだ。


あたしはハッとして光磨の手を握る。
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