蟲狩り少女
こうやって声をかけてくれるだけで、あたしは嬉しくなった。


「ううん。あたしこそ、教え方が下手でごめんね」


ひと通り教え終わって一息ついていると、教室内に清野光磨と三岳友輝が戻って来た。


2人とも同じようにタオルで汗を脱ぐっている。


あまり仲がよさそうには見えない2人だけれど、スポーツのことになると団結できるのかもしれない。


そんな2人を少しだけうらやましく感じる。


あたしは勉強はできても他のことがてんでダメで、誰かと団結してもいつも足を引っ張ってしまうのだ。


そんな事を思ってうつむいていると、三岳友輝が珍しくあたしに声をかけてきた。


「お前さ、よくクラスメイトに勉強教えられるな」


「え……?」
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