蟲狩り少女
雪の花
走って走って、気が付けばあたしたちは学校の近くの河川敷に来ていた。


普段運動神経のよくないあたしは横っ腹が痛かったけれど、それでも笑いがこぼれて来た。


「あ……あははっ」


呼吸を整えたくても整えられないくらい、おかしい。


光磨も同じように笑っている。


なんだ、そんな単純なことだったのかと、すべてがおもしろく映ってしまう。


「俺たち兄妹じゃなかったんだな」


光磨が笑うのをやめて、そう言った。


あたしはそんな光磨を見て「うん」と、頷く。


河川敷の広場では子供たちサッカーをしている。


その声が一瞬にしてどよめきに変化した。


あたしと光磨は視線をそちらへ移動させる。


子供たちは一様に空を見上げ、わーわー騒いでいる。


「雪だ」
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