蟲狩り少女
三岳友輝はそんなこと気にもせず、ズンズンと歩いて行って脇マサヤの机の前で立ち止まった。


「これから少し時間があるか?」


その声はくぐもっていて、いつも以上に低く聞き取れた。


「あ……あるけど……」


「ちょっと来いよ」


三岳友輝はそう言い、脇マサヤを立たせて廊下へ出た。


誰もがその様子をかたずを飲んで見守っている。


一体どういうつもりだろう。


今日の今日脇マサヤを呼び出せば更に疑いの目をかけられることは、誰だってわかっていることなのに。


それとも、三岳友輝はそんなこともわからなくなるくらい、切羽つまっているのか。
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