その翌日の月曜日は、午後三時から個別指導塾の講師のバイトがあるので、それまでの時間、永輝と公園でタンデム・フレアの練習をすることになった。日曜の晩、練習用ボトルを借りて帰ってアパートでも練習したのだが、インフロント・クロスがまだうまくできない。

「永輝さん、インフロント・クロスをもう一度教えてくださいっ」

 菜々の朝九時の電話にも永輝は文句一つ言わず、「今からおいで」と言ってくれた。菜々は朝九時から開いているスーパーに寄って食材を調達してから、電車に乗って永輝のマンションに向かった。エントランスに入ろうとして、公園に永輝の姿を見つけて走り寄る。彼はワン・ボトル、ツー・ティンというスリー・アイテムの練習をしているところだった。永輝が足音に気づいて手を止める。

「おはよう、菜々ちゃん」
「おはようございますっ」
「朝から元気だね」
「永輝さんに」

 会えるからと言いかけて、あわてて言い直す。

「早くインフロント・クロスを教えてもらいたくて」
「熱心だね」
「あの、それで、昨日のピザのお礼に今日は私がランチをごちそうしようと思って、食材を買ってきたんですけど、冷蔵庫をお借りしてもいいですか?」

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