翌朝四時半、菜々は携帯電話のアラーム音で目を覚ました。永輝を起こさないようにすばやく止めたが、彼は目をこすりながら起き上がった。

「見送りに行くよ」

 昨晩、永輝は菜々の気持ちを気遣って添い寝をしてくれただけだが、ベッドに入ったのは午前一時だから、彼も相当眠いはずだ。

「朝早いし、一人で行きます」

 菜々は気遣ってそう言ったが、永輝は首を振る。

「まだ電車は走ってないだろ。車で送ってく」
「永輝さんの負担になりたくないから、タクシーを呼ぼうと思ってたのに……」

 永輝がベッドから下りて、パジャマの上を脱ぎながら菜々を見た。

「負担だなんて思っちゃいない。それより、どうしても気になるんだ」
「何がですか?」
「あの和倉一臣って男」

 永輝の言葉を聞いて、菜々は首を傾げた。

「どうしてですか? 祖父に頼まれて――というか、命じられてって言ってましたけど――わざわざ東京から来てくれたんですよ? それに、誠実そうに見えましたけど」
「なんかうさんくさい」

 永輝の口調が不満そうで、菜々は思わず笑みをこぼした。大樹が聞いたら〝独占欲丸出し〟とでも言って笑いそうだ。

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