イジワルな君に恋しました。
苦しい……。
でも、先輩の様子がおかしいから離れることができない。
先輩を落ち着かせるように、背中に手を回して抱きしめ返す。
「陽菜……好き」
耳元に口を寄せて、囁く先輩。
「あっうぁっ……不意打ち……です」
甘い囁きに、顔が熱くなってどう反応すればいいか分からなくなる。
先輩……。
顔を少し上げると、切なそうな瞳をした奥村先輩と目が合う。
そして私に顔を近づけてきてチュッと軽くキスをする。
「じゃ、俺、次もあるから行ってくるな」
「あ、はい。頑張ってください」
さっきの切ない瞳から、いつもの笑みに戻って私に手を振り行ってしまった。