ごめん、好きすぎて無理。
その時、俺に勇気があれば。
紗奈に本音を言える勇気があったのなら、紗奈を不安にさせないでいられたのかもしれない…。
でも、その頃の俺にはそこまでの余裕もなければ、そこまで紗奈を思いやることなんて出来なかったー…
『陸は、私のこと…好き?』
静かに時間が流れるなか、紗奈はそう問いかけてきて。
『…紗奈のこと、ちゃんと想ってるよ』
そう返した俺に、紗奈は俺の体を背後から抱きしめて。
『私の事がちゃんと好きなら…
ちゃんと証明してよ?』
紗奈のその言葉の後、紗奈が俺を抱きしめる力を弱めて、そして震えながらキスをしてきた。
『……紗奈?』
お互いの唇が離れた後、紗奈は今度は俺の前に移動し、そして俺を押し倒した。
紗奈のその動作が、その行動が、紗奈が望んでいること、それが一つしか思い浮かばなくて、俺は紗奈の腰に手を添えて、そして紗奈の体をどかそうと試みる。
『何…してんの…?
紗奈、勉強し過ぎて』
『黙ってよ』
俺の言葉を遮り、もう一度紗奈は俺にキスをしてくる。
『……陸。
私の事、ちゃんと好きなら、私のこと抱いてよ…?』