ハートブレイカー
19
お風呂場から出てきた私の手をつかみ、掻っ攫うように自室へと連れて行く。
彼の勢いと急展開に、思考がついていかない。

「あ」と言ったときにはもう、ドアは閉められていた。

ドアに背を向け、私のすぐ前に立つ彼は、腕を組み、上から目線で私を見る。
まぁ・・・彼のほうが25センチは背が高いから、「上から」になるのは仕方ないけど・・・。

いつ慣れるんだろうか。

「質問は」
「え、えっとー。なぜ私はここに連れて来られたんでしょうか」
「愚問だ。他には」
「はあ?自分から“質問は”って聞いたくせに、答えないの!?」

何、この・・・俺様野郎!!
キッと彼を睨むと、受けて立つといわんばかりに真正面から睨み返された。


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