黄金の死神
出会い
「わぁ!!宮本がまた一位かよ!!」

「さすが宮本さん!!頭良すぎ!」

帰りの学活で期末テストの結果が帰ってきた。 結果は堂々の1位。二位との差を10点ほどつけた。

この秀才少女の名前は 宮本 香純 中学2年 テニス部所属 ポジション前衛。

彼女は今まで塾に通った事はない。宿題を忘れた事などない。出された物は最後までやり通した。

大人しく、何でもテキパキ片付けるし、面倒見もいいため学級委員として指名を果たしている。

彼女は本当になんでもできる。ピアノ、琴、ギター、習字、剣道…

先生からの支持も高く、地域の人たちからも信頼されていた。

彼女に悩みなどなかった。あの日までは…

  ある暑い夏の日

香純は図書室から教室へ帰ると、クラスの女子が固まって紙らしき物を交換しあっていた。

「何を渡しているの?」と香純は聞いた。クラスの副委員 七瀬 朱里が答えた。

「プロフだよー!!」

「プロフ?」

「そう、プロフってのはね簡単に相手の事を知れるんだよ!!プリクラ貼って 生年月日書いて趣味とか好きな物とか質問に答えたり、まあ、そんな感じ?」

「へー、初めて見たわ。」私はそのプロフをとってじっくり眺めた。

「そーだっ!!香純ちゃんにもプロフ書いてもらお!!」ポニーテールが似あう 佐々木 舞が言った。

「書いて!!」 

「これ私のー」 

「これもよろしくぅ」

香純は六枚ほど、プロフをもらった。

休み時間が終わるまで書き終わらせようと必死で書いた。名前から住所から趣味などサラサラと書いた。

その時、香純の手が止まった。

「ねぇ、私の良い所って何?」香純が皆へ聞いた。

「んー…頭がいいところ?」 

「あ、頭がいいところだよね?」 

「何でも完璧にこなす所だなー。それと頭がいいとこ」

皆が口を揃えて言うのが香純の良い所は 頭がいいこと。

すると影からこんな声が聞こえた。

「だってさ、宮本さんってなんか怖くない?」

「わかるわ。なんでもできて逆にね」

「なんか地味だし笑 話合わない。」

「プロフ知らないとかさww」

「それなぁ」

「他に良い所なんてないだろー笑」

「俺もそう思う」

香純は、自分の顔が熱くなるのを感じた。そして足が震えていた事を。



香純は休み時間が終わっても、授業が始まっても自分の良い所を考えていた。けれど見つからなかった。

部活は今日は休みだった。家へ帰ると母がリビングでテレビを見ていた。

「ただいま、お母さん。」

「あら、おかえりー、早かったねえ。部活は?」

「なかった。」

「そーなの、宿題早く終わらせなさいよ」

「わかってる。あのさぁ、お母さん」

「何?」

「私の良い所ってどこ?」

「そーねぇー。お母さんと違って頭がいい事かしらね!!それぐらいかしら?そういえばテストどうだった?」

香純はお母さんのその言葉を聞いて絶望した。 香純は通学かばんを開けるとテスト結果表をテーブルに叩きつけた。 香純はそのまま自分の部屋へ戻った。

その日眠れなかった。横になりながらふと考えた。

『誰も私を必要としてない。私の事を頭がいい人としか思ってないんだ。そうだ。私が死んだらどうなるんだろう。死んでみたい。死にたい』と。

その時だった。急に体が動かなくなり冷たい風が体をなでおろした。鳥肌が一瞬でたった。

金縛りだろうか。彼女はわずかに動く首を動かした。

「あなたは死にたいですか?」

耳元で誰かがささやいた。若い女の人の声だった。

声も出なかった。でも本当に今なら死ねると思った。とっさに こくんとうなずいた。すると金縛りがとけた。

ベットの横に女の人が座っていた。

見た目から10代後半から20代全般、髪は黒。服装は魔女が着るようなコートを着ていた。

「こんばんわー♡死神でーす!!17でーす!!」

彼女はにっこりと笑いながら自己紹介した。

「し、しし死神!?」驚きでいっぱいだった。

「そうって言ってるじゃなあーい。しつこいなー。」




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