もしも緑間くんと恋をしたら
マシュマロのキス
ドキドキの昼食を終え、ベンチに座ったまま引き続き緑間くんとおしゃべりをしていた。
外はポカポカしていて気持ちがいい。

「緑間っちじゃないっすかー!」

正面から聞き覚えのある声がする。
向かってくるのは、黄瀬涼太だ。

「っ!き、黄瀬!!!」

緑間くんはこの言い訳の出来ない状況に、あたふたし動揺を隠しきれずにいた。

「女の子といると思ったら、斉藤さんだったんっすね!あれ?デートっすか?」

黄瀬くんがすごいテンションで、緑間くんをからかう。

(あちゃー)

「うるさいのだよ!」

照れ隠しのうるさいのだよ、だ。
誤解解く必要ないか。見てるのも楽しいし、と思って弁解をするのをやめた。

「緑間っちもそういうことするんすね!あ、そうそう!黒子っちと青峰っちも来てて、ストバスするんすよー!」

「な、何?!」

そう言ってるうちに、後方から黒子くんと青峰くんがやってきた。

「あれ?緑間くんじゃないですか」
と、黒子くん。

「緑間はあれだよ、デートなんだから、お前ら邪魔すんなよ」
そして、青峰くん。

(見られちゃったねー、緑間くん)

私はそれでも弁解せずに、緑間くんの様子を伺っていた。

「えー!もうちょっとだけ聞きたい!もしかして、付き合ってたんすかー?二人って」

黄瀬くんがしつこく緑間くんを攻撃する。
まだ弁解しないでおこう。

「付き合ってなどいないのだよ」

「怪しいっすねー」

「付き合ってなどいないのだよ!お前も弁解するのだよっ!」

そう言って、緑間くんが私に助けを求めてきたのだ。
そのあたふたした姿が妙に可愛い。

「付き合ってはないよね。でも、私は緑間くんのこと好きだよ?」

私が堂々とそう言うと、緑間くんは唖然として言葉をなくした。
照れを越えて、言葉にならなくなったらしい。

「これはおもしろくなってきたな、緑間」

青峰くんがいたずらに笑う。
これからもからかうネタが出来た、と言わんばかりに。

「緑間っちに彼女とか考えられなかったっす」

黄瀬くんが続いて笑い出した。

「そのへんにしときましょう」

冷静な黒子くんが止めに入ってくれた。

唖然として言葉をなくした緑間くんが、ただただ赤面である。

「あー、そうだな。そのへんにしといてやるよ」

青峰くんはそう言って、笑うのをやめた。

「あ、ストバスするの?緑間くん……しなくて良い?私見てようか?」

私が緑間くんの腕を揺らしながらいうと、はっと我に返り鋭い目付きを浮かべた。

「笑われて腹が立ったのだよ。ちょっと行ってきても構わないか?」

「良いよ」

ということで、私たちはバスケットゴールのある広場まで歩いた。
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