殺人ごっこ
7th 第二標的Ⅱ


「どうして貴方があたしを殺すのかは分からないけど、あたし幸せ」


幸乃が道路にしゃがみ込んだ。

僕はまだ道路に崩れたままだった。


「だから、早く殺して?」


幸乃が僕のボストンバッグの中からナイフを取り出した。

蓋を取り、剥き出しになった刃を見ながら言う。

そしてナイフを僕に手渡した。


「ぅ、わっ……あぶない」

「早く!」


その大きな声に、僕は思わず上を向いた。

幸乃が僕の腕を引っ張り、しゃんと立たせた。


「ゆき……の?」

「殺すなら、早く殺して」


幸乃が両手をいっぱいに広げた。

僕はぎゅっとナイフの柄を握った。
< 61 / 79 >

この作品をシェア

pagetop