殺人ごっこ
7th 第二標的Ⅱ
「どうして貴方があたしを殺すのかは分からないけど、あたし幸せ」
幸乃が道路にしゃがみ込んだ。
僕はまだ道路に崩れたままだった。
「だから、早く殺して?」
幸乃が僕のボストンバッグの中からナイフを取り出した。
蓋を取り、剥き出しになった刃を見ながら言う。
そしてナイフを僕に手渡した。
「ぅ、わっ……あぶない」
「早く!」
その大きな声に、僕は思わず上を向いた。
幸乃が僕の腕を引っ張り、しゃんと立たせた。
「ゆき……の?」
「殺すなら、早く殺して」
幸乃が両手をいっぱいに広げた。
僕はぎゅっとナイフの柄を握った。