腹黒教師の甘い策略


「有沢先生とだったら、
誤解されてもいいんだけど。」

「…ふざけたこと言わないで。
私今から作業するから、
もうどっかいって。あんたも次、授業あるんじゃないの?」


未だに、にやにやと嫌な笑みを浮かべている谷崎を睨み、保健室に入った。

…これでやっと、
浮気相手Aにも谷崎にも邪魔されず仕事が
できると思ってたのに、


「な、なにやってんの!
足、邪魔!」


「まあまあ、そんな怒るなよ。
可愛い顔が台無し。」


「怒るわ!そして気持ち悪いこと言わないで!」


これ以上、谷崎の相手をするのはやめようと、
保健室に入り、鍵を閉めようとしたとき、
あろうことか谷崎はその無駄に長い足をドアに
挟んで、扉が閉まるのを阻止してきた。


…なんでこんなに突っかかってくるの!?
からかいたいだけならこんなに話しかけてこなくてもいいでしょ!


「…別に仲が良いわけでもないし、
あんたにとっても私にとってもただの仮の浮気相手でしょ!」



“仮の浮気相手”ってなんか変な日本語だけど、
でも谷崎は浮気された私をからかって、
浮気しようなんて言ってきたんじゃないの?
だったらなんでここまで関わってくるの?


そんなイライラをぶつけるように、
私はまた谷崎を睨んだ。

「そんな怖い顔すんなって。」


谷崎の言う通り、私は今相当怖い顔になってるはず。
なのに、この谷崎という男は笑顔で私の言葉と
睨みをさらりとかわす。

…ほんっと、むかつくやつ!


< 13 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop