紙の上をサラサラと走るシャーペンとページをめくる音だけが響く静かなリビング。

時折聞こえていたパソコンのキーボードを打つ音がパタリと途絶えた。



――…ん?


読んでいたペーパーバックから目を上げると、視界に入ったのは茶色の髪。

床に敷かれたラグの上にじかに座り込む彼女は、テーブル一杯に資料を広げて課題である英語の論文と格闘中。

しばしば見せる難しげな表情がその課題の困難さを物語っているようだが、彼女には悪いが俺にすればそれすらも何だか微笑ましい。



「あ~っ、もう、わかんないっ」


一言そう叫ぶと、彼女は持っていたシャーペンを放り投げ、そのままテーブルの上へと突っ伏した。



「難しいのか?」


俺がそう訊くと、彼女は身体を起こし顔だけをこちらに向ける。



「はい……すごく」


ソファに座る俺の広げた脚の間に座り込んでいる彼女。

その口元を少しとがらせ、上目遣いの潤んだ瞳で俺を見つめる。



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溺愛  社長  イケメン 

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