そして、

それから30分もしないうちに、俺と博人は藤堂社長の家のリビングでソファに座っていた。



「――あの、本当にすみません。わざわざ来ていただいて……」


申し訳なさそうに言う美智子ちゃんは、書類にサインをする社長の横でまだほんのりと赤い顔をしていて。



「もう起きて大丈夫なの?」


カサブランカの花束を差し出しながら訊くと、



「はい、熱は下がりましたから」


彼女ははにかんだように頷いた。



「それにしても、39度って大変だったね。…でも風邪、ってカンジじゃなさそうだよね」


優しげに微笑み、博人が何の気なしに言う。


すると、



「あ…えぇ。その、それが……」

「――博人、サインしたぞ」


どうしてか言いよどむ美智子ちゃんを、社長が遮るように低い声を出した。


この作品のキーワード
溺愛  社長  イケメン 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。