「ああ、これから行く――」


日も暮れかけた夕方近く、クローゼットからスーツの上着を出しながら電話の向こうの山崎へ答えた。



「大丈夫だ、今は寝てる」


上着を手に持ち、リビングへと向かう。

リビングの扉を開けた途端、身体全体を包み込むのはむせ返るほどの香り。



「わかった。ああ、後で――」



――…甘い香りだな。



視界の端に映るのは、テーブルの上に置かれた花、


白く咲き誇る大輪の百合――カサブランカ。


それは両手で抱えなければならないほどの大きな花束で。

書類に俺のサインを取りに来た、博人と修哉が持って来たもの。



――…美智子の見舞いの為、か。


心配そうな顔で修哉が差し出したこの花束を、彼女ははにかんだ笑顔で受け取った。


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溺愛  社長  イケメン 

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