GLANC・グランへ行く為に車でマンションを出て間もなく、彼女を見つけた。

静かに車を止め、窓を開ける。



「美智子ちゃん!」

「…博人さん」


立ち止まった彼女は買い物の帰りなのか、中身の詰まったバッグを抱えていて。



「買い物?」


顔を赤くしながら目を丸くする彼女に、優しく微笑んだ。



「はい。…博人さんは、GLANC・グランですか?」

「ああ…よくわかったね?」

「だって、スーツが……」

「あー、なるほど」


美智子ちゃんは、俺が会社へ行く時のスーツとは違い、明らかに派手でスタイリッシュなスーツを着ていることに気付いたらしい。



「こんな時間に買い物なんて珍しいね。――今日大学は?」

「休みました。…なんか疲れがたまっていたみたいで、風邪も引いちゃって」

「え…大丈夫?」


彼女はつい2日前に39度を超える高熱を出したばかりで。



「たいしたことはないんです。ちょっと喉が痛いくらいで」

「あぁ…なら、いいけど。でも無理しちゃダメだよ?」

「はい、わかりました」



いつもと変わらぬ笑顔を見せる彼女にホッとしつつ、「じゃぁ、またね」と言って車を出した。



「――いってらっしゃい!」


ドアミラーには笑顔で手を振る彼女の姿。



――…フフッ。


その明るい声に、車の窓から片手を上げた。






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溺愛  社長  イケメン 

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