ずっと隣で・・・
「弦・・・ごめんね・・・すごく迷惑かけて・・・」

「少しは落ち着いた?」

私はうんと頷いた。
「はい・・これ」
弦からコーヒーの入ったマグカップを受け取った。
「ありがとう・・」
弦は私とある程度の距離を取る様にダイニングチェアーに座った。
その距離が今の私と弦の距離を物語っている様だった。


新幹線のホームで「話をしたいから」と言われたが
実際、弦から話しかけることはなかった。

「何も聞かないのね…」
話しかけたのは私の方だった。

「男は黙っているのがいいかなーって・・・思ってさ」
そう言うと、ぬるくなった残りのコーヒーを一気に飲み干した。
それにつられるように
私もぬるくなったコーヒーを飲むと
涙の原因を弦に話した。


弦は黙って私の話を聞いていた。
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