ずっと隣で・・・
「弦?」
声をかけると
「ない・・・あの店無くなってる」
弦の話によるとお気に入りのカフェがあった場所がめがね屋になってたそうだ。
「あーあ・・・あそこのナポリタンうまかったのにな~」
心底ショックだったらしい。
「そんなに美味しかったの?」
弦は黙って頷いた。

「今から行く店にもナポリタンがあるから、そこで頼んでみたら?
結構おいしいのよ。居酒屋なのにナポリタンがあるの」
だが弦はショックが大きい様でから返事しかかえってこなかった。

歩く事約5分。
お店の看板を見た弦が驚いた様子で立ち止った。
「どうかした?」
「ここ・・・ここって・・・」
「なに?」
「俺がさっき言ってたカフェと同じ名前・・・・」
「え?そうなんだ・・・私はね1年前くらいから通ってるの。」

店に入ると・・・・
「いらっしゃいませ・・っておお千鶴ちゃん。今日は・・って・・あれ?
君って・・・・どこかで・・・」
マスターが驚いた様子で私たちをみた。
英斗が京都に行ってから通うようになったから
男の人とここに入るのは初めてで
きっとマスターは私が男連れだってことに驚いているのだろうと思った。
「マスターちょっと私が初めて男の人と来たからって
そんなあからさまに驚かなくても・・・・」
口を尖らせる私にマスターは違う違うと否定した。
「千鶴ちゃんのお連れの人俺の前の店によく来てた人だったから」
やっぱり私の行きつけの店と弦が言ってたお店は同じようだった。

話を聞くと駅ビルのテナント料はすごく高い様で、人気はあったけど
このまま続けるには厳しかった。
それでもこの店は続けたいと言うことで
駅裏でカフェとしてではなく洋風居酒屋としてお店をオープンさせた。
もちろんここの人気№1は弦が言っていた
ナポリタンだった。
ここでの締めはラーメンではなくここではナポリタンが定番化していた。

「でも・・・・よく僕の事憶えていましたね。」
驚いたのはもちろん弦だった。
「そりゃ憶えてるよ。こんなイケメンがいつも一人で黙々と
ナポリタン食べてるんだからすごく目立ってたんだよ・・・・
彼女とかいないのかなーって・・・何度聞こうと思ったか・・・だから憶えてる。
でも・・・そんなに長くなかったよね。2ヶ月くらいか?
冬だったよねーたしか・・」
マスターの話に弦はバツの悪そうな顔をした。
「・・・ちょうどその頃付き合ってた彼女と別れたばかりだったんで・・・」
・・・それって私?
私が弦の方を見ると
それ以上突っ込むなよと言いたげな目で訴えられ私は黙った。
「それでか~~だろうな~~君かっこいいもん。
で?新しい彼女が千鶴ちゃん?」
マスターが目尻に皺を寄せるが私たちはほぼ
同時に違いますと答えていた。
そんな私たちにマスターは
「息ぴったりなのに・・・否定するのは怪しい・・・」
疑いの目でほんの少し口角を上げたがそれを完全否定したのは弦だった。
「彼女は友達なんです。俺今、京都に住んでて・・・
今日は出張で名古屋に来て・・・・」
弦の否定の言葉にほんの少し胸がチクッとした。

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