土日を過ぎると次第に熱はおさまり、編集長から預かったレコーダーを使って少しずつ仕事を進めることができた。

録音されたものを文字に起こして、記事のイメージもだいたい頭の中で出来上がった。

火曜日と木曜日にそれぞれ訪れた式場の方は早速記事の下書きに入り、資料とメモと、それから自分の記憶をたどって着々と完成に近づけていく。


「――ステンドグラスから差し込む光は七色にきらめき、鐘の音は新たな夫婦の誕生を祝福するように優しく鳴り響きま、す……っと」


トン、とenterキーを小指で叩くと、椅子に座ったままうーんと伸びをした。

それからまたパソコン画面に視線を戻し、誤字脱字のチェックをしながら自分の文章を読み返す。


「うん……我ながらよくできてる」


あとは編集長に見せて、これに合う写真をいくつか……

……編集、長。

カラン、と頭の中であの日の鐘が鳴る。

肩に触れた熱と真剣な色をした瞳。それに、あの言葉……

“お前のこと、一生幸せにする――”

そこまで思い返せば、自然と蘇るのは、寸前まで迫っていた編集長との誓いのキス。

もちろんそれは“フリ”で、私の顔には編集長の笑った鼻息がかかっただけ……の、はずなんだけど。

その記憶と、それから金曜の夜にここを訪れた彼にかけられた“おまじない”の記憶がリンクして、まるであのまま誓いのキスをしてしまったかのように、脳内で勝手に映像が出来上がっている。


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