ますます監禁されますが、お仕事です

ーー

「次からは、絶対に人を入れないようにしよう」

「あなたが言うならそうしますけど」

「そこでだ。俺のフリをしてこの部屋に入ろうとする奴への対策を考えてみた」

もうその時点でいないだろうに。の言葉は彼に通用しない。

「『開けゴマ』『山、川』の手法を真似て、俺たちも合い言葉を使うことにしよう」

「あなたは時折、とてつもなく頭が悪くなりますよね」

「鍵を十個つけるよりは、効率的だ。内側のチェーンは、俺と分かるまで絶対に外さないように」

「分かりました。で?合い言葉は何に?」

どんなにヘンテコな要求でも、それが雇用主の希望なら私は従うしかない。

「雨音が、『昼も夜も頭から離れずに、思うだけで胸が苦しく呼吸も乱れてしまうほど恋い焦がれて、あなたなくしては生きていけない、私の全てたる人は?』と言った後、俺は『ここにいるよ』と返すから、そこで扉を開けて、抱き合い、キスをするという感動シーンにしよう」


「メモしますので、もう一回言って下さい!」


※それは合い言葉ではなく、愛言葉とドヤ顔で言う人は不在です。

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