キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


「店長、地区長にお茶を出してきた方がいいですか?」


パソコンの前にいた俊に聞くと、彼は首を横に振った。


「いい。二人だけの話だから」


それって、どんな話だろう。

気になったけど、今聞いてはいけないような気がして、そっとその場を離れた。

するとすぐに杉田さんと地区長は降りてきて、代わりに今度は平尾さんが二階に呼ばれた。

もしかして、と思う。

するとやっぱり平尾さんはすぐに降りてきて、涙目で俊に訴える。


「店長、どういうことですか」


営業中にも関わらず、平尾さんは声を押さえようともしなかった。

お客様がいないから、逆にその会話は皆に丸聞こえになってしまう。


「地区長からお話がありましたよね?それ以下のことも、それ以上のこともありません」


俊は淡々と答える。

やっぱり。前に言っていた、パート切りの話を地区長からされたんだ。

成績の悪いパートさんは、切られてしまう……。


「困ります。いきなり辞めろって言われたって」

「申し訳ないですが、ちゃんと解雇の一か月前にはお伝えしましたので、その後のことはご自分でなんとかしてください」

「そんな」

「会社が決めたことですので」


文字通り、切って捨てるような冷たい受け答えに、聞いているこちらがハラハラしてしまう。

杉田さんも、メガネを直すフリをしながら、ちらちらと平尾さんと俊の方を見ていた。


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