キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
4・もう一人の鬼


閉店後……。


お店から歩いて行ける距離にある焼肉屋さんに、全員で徒歩で向かう。

ちなみに長井君と杉田さんはマイカー通勤だけど、今夜は寮に泊めてもらうのだとか。


「はっちゃんは私が車で送っていくから、心配しないでね」


と、お酒が飲めないらしい平尾さんが言ってくれた。

そして5分後、着いたお店はチェーン店でも、個室があるオシャレなお店でもない、ただの小さな焼肉店だった。


「はっちゃん、嫌そうな顔しないの。ここ、結構安くておいしいんだよ?」


幹事の長井君が私の肩を叩いて笑う。

だって……はっきり言って、小汚いんだもん。

換気扇は油で真っ黒だし、床がなんかベタベタするし。

座敷の畳は色あせているし、ポスターやメニューはいつの時代のものかわからないくらい黄色くなっている。


「ここの大将、うちのお客様だからな。失礼な態度とるんじゃねえぞ」


矢崎店長はそう言い、先陣を切って予約席へと向かう。

くっそ~、自分だけしっかり寮で楽ちんスタイルに着替えてきて。汚してもいいから、気持ちも楽でしょうよ。


「はっちゃん、どこに座る?」


杉田さんに聞かれた瞬間、奥に座った店長が手招きした。


「ハツ、こっち。お前らは平尾さんを挟んで座れ」


ちょっと待ってよ。なんで勝手に席を決めるのか。しかも、店長の隣だなんて。





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