【完】一粒の雫がこぼれおちて。





「大丈夫だよ、里沙ちゃん。」



大丈夫。



だって私、


「最初から、和泉くんのこと信じてるから。」





今なら、分かる。



どれだけ冷たくされても、和泉くんの傍にいたかった理由。


どれだけ大ちゃんに愛されても、和泉くんの顔が頭から離れなかった理由。


どれだけ大河内さんに責められても、無意識に和泉くんを目で追ってしまった理由。



どれだけ、頑張っても


胸のときめきを止められなかった理由。



「……しずくちゃん、蒼空くんは臆病なの。だから、しずくちゃんの暖かい心で、包んであげて。」


「う、ん……っ!」





……あのね、


和泉くん。



私……、和泉くんが好きです。



誰よりも。





< 128 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop