【完】一粒の雫がこぼれおちて。





本来なら出なければならない。


出ないと、また大ちゃんに嫌われてしまう。



嫌……イヤ、だけど……。



「……和泉くんに嫌われるのは、もっと嫌……。」



私は携帯の電源を落とした。



それが正解だったのか、間違いだったのか私には分からない。



もしこの選択が正解だったとしても、私の体から吹き出す冷や汗は止まらないと思う。



この先が怖い、明日が怖い。


次、大ちゃんに会うのが怖い……。



「何してるの、そんなところで。」



どれぐらい経ったのかは知らないけど、和泉くんがお風呂から上がって来て。



その姿を見て、何故だか涙が溢れた。



「ちょっ……!?」



抱き着いた和泉くんから香る、シャンプーの良い匂い。



私はそのまま意識を手放した。





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