私ときたら、何やっているんだろう。

浴室の洗い場にしゃがみ込んで、バスローブを膝上までたくし上げ、ひたすらバスタオルを洗う。

すでに足は痺れ、腰も悲鳴を上げているし、バスタオルをゴシゴシ擦り合わせている手も疲れてきた。

けれど、染みは完璧には落ちてくれない。

自分がどんどん惨めになっていく。

これこそが自らの意志で選択した結果だというのに。


――ガチャリ。

出し抜けに浴室のドアが開き、男が顔を覗かせた。

私は咄嗟に短い悲鳴を上げ、男から視線を外す。

男はトランクス一枚だけで上半身には何も身に着けておらず、私はそういう半裸の異性を明るい場所で目の当たりにするということにまるで免疫がないから。


「し、失礼! あ、あの、あなたは……?」

「話は後でお願いします! 今は服を着てあちらの部屋で待っていてください」


なんで浴室に鍵がないのだろう。

ラブホテルって、そういうものなのだろうか。

理不尽な怒りがこみ上げかかり、しかし次の瞬間、自分が非常にまずいものを手にしていることを思い出した。

そうだ、これがこの人に見つかってはなるまい。

私はバスタオルを腕で隠しつつ、自分の背後にそうっと回す。

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