……っぽい。

信じていいんですよ、俺のこと

 
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「んね、笠松、私っていつまでフランス出張していればよかったんだっけ?」


ある日の帰り道。

笠松と仕事帰りに水族館に来ていた私は、もはや私の一部に昇華したクラゲ展示の前にて、それをぼんやりと眺めながら笠松に尋ねた。


ここのところ、笠松の過保護っぷりは凄まじいものがあり、出社も帰りもいつも一緒、事あるごとに「過呼吸は大丈夫ですか?」と聞かれ、最初は笑顔で応じていたものの、ここ2日ほどは引きつり笑顔で応じてしまっている。

でもまあ、基本笠松のことは大好きなので、思いっきり眉間にしわを寄せて迷惑そうに「大丈夫」と言うことはないだろう。

それくらい、私の愛も成長している。


「7月いっぱいです。それより、2人でいるときはちゃんと“準ちゃん”って呼んでくださいって言ったじゃないですか。昔からの俺の憧れなんですよ、その呼び方。はい、やり直しー」

「うげっ。そっちこそ敬語使わないって約束だったじゃないの、今の無し。はい残念ー」


……って、子供すぎるぞ私たち。

私たちの後ろを通り過ぎていくカップルさんたちがクスクス笑っている声が聞こえて、笠松と2人、恥ずかしさのあまり、その場を逃げた。
 
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