わたしはみんなに殺された〜死者の呪い【前編】〜



『くそっ………あんなもの、食べなければ良かった……っ』


中から聞こえた声に、手を止める。


………今の声、ここあ?


にしては、低い気が………。


何かに怒ったりしてるときみたいな低さ。


それに、今の口調は…?


「ここあ…大丈夫?」

『あのくそババア…あたしにこんなもん食わせやがって』


恐る恐るカーテンの向こう側に行って声をかけてみるも、あっちを向いているここあには聞こえていないようだ。


ここあって、一人称『あたし』だっけ?


ここあって言ってた気がしたんだけど?


「ねえ…ここあ?」

『金がねぇからって娘にカビたパン食わせるかよ、普通』


お腹を擦りながら起き上がってきたここあは、私の見たことのない表情をしていた。


眉間にシワを寄せて、爪を噛んで。


カーテンを睨み付けるようにして座っている。


こんなの、ここあじゃない。


だってここあは…いつもニコニコしててふわふわな雰囲気で、可愛いのに。


まるで不良みたいなこの人は、誰?


ここあの家が貧乏なのは知ってたけど…ここまでだったの?


「ねぇ、嘘でしょここあ…
違う、あんたはここあじゃないよね?
ねえ、答えてよ…」

『あーあ……
マジ腹いてぇ。授業行きたくねぇけどあいつら絶対あたしが仮病使ってると思ってっからなぁ……行ってやるかぁ』


バリバリと頭を掻きながら私を素通りしたここあ。


……なんで?なんで無視するの?


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