オトナの恋を教えてください
ゴール!!



9月初旬のある日。
定時まであと少しという時に、美野里からスマホにメッセージ届いた。


『お見えだよー』


それだけで私は意味を把握し、無性に嬉しくなった。

急いで仕事を片付ける。
第一営業部と財務部から頼まれた資料をメール添付で送り、締め業務に入る。
明日に回せる業務は回すことにした。


定時を過ぎると、データ管理部を飛び出した。

14階の営業企画のフロアに顔を出すと、居並ぶ営業マンたちの奥に、久しぶりの見る背中が見えた。

美野里がデスクから腰を浮かして、私に手招きする。
さすがに用もないのに中まで入れない。


すると、その懐かしい背中がくるりと振り向いた。

柏木さんは、私を見つけると破顔一笑し、片手を上げた。

それだけで満足してしまう私。

やっぱり押しかけたりせずに、携帯に連絡がくるのを待っていればよかったかなぁ。
でも早く顔を見たかったんだ。


顔を合わせただけで私は営業企画部フロアから退散する。
データ管理部で残った仕事をしていると、柏木さんからメッセージが届いた。


『玄関で待ってる』
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