片道切符。

若葉が、萌ゆ



* * *


あの日のことは、いまでも鮮明に思い出すことができる。

高校2年の季春。

青葉が繁る、ある春のはじまりのこと。



「じゃーな、成嶋!」

「おう!またな!」


部活帰り、律儀にも電車通学の俺を駅まで送ってくれた友達の背中を見送ってから、俺は改札を通った。

高校の最寄りの市街の駅から家の最寄り駅までの間は4駅。

そんなに離れた距離でもないし、俺の地元から市街の高校に出てきてるやつは結構いる。

進学校とかも全部こっちにあるし。

俺は頭悪いから、いま通ってる工業高校しか受かりそうになかったから、だけど。


改札を抜けると、ちょうどホームに電車の到着を知らせるアナウンスが鳴ってることに気づく。

「あ、やべ!」

急がなきゃ。これを逃せば次の電車が来るまで30分以上待たなくてはならない。

これが田舎の電車の不便なところだ。


ホームへ続く階段にさしかかると、電車が停車しているのが見えた。

やっべ、急げ!

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