「――4時半に美智子を迎えに行く」


社長室へ入るなり、後ろからついて来た山崎へ今日の予定変更を伝えた。



「はい、かしこまりました。ではマンションの方へお迎えにあがるのは7時近くで宜しいですか?」

「ああ、それでいい」

「常務はすでに準備の為GLANC・グランへ行っておられますが、何かお伝えすることはございますか?」

「いや、特にない」


椅子に座りデスクの上の書類へと眼を落とすと、山崎が「では」と一礼して部屋から出て行った。



「…」



――…「宣伝効果」、か。



あれは、イギリス大使のパーティ前日――…。



「――美智子ちゃんをエステに行かせたよ」


社長室に入って来た博人が、言いながらソファに腰を下ろした。



「エステ?」

「ああ。午後は休講だって言うからちょうどいいと思ってね」

「……」

「明日はパーティなんだし、エステぐらい当然だろう?イブニングドレスで肌も露わになるんだし磨いておくにこしたことはないよ」

「――ご苦労なことだ」


書類にサインする手を止め、笑顔なのに笑っていない鳶色の瞳へと溜め息を吐いた。



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溺愛  激甘  イケメン  社長 

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