窓を伝う雨の滴。

それを目で追いながら電話の向こうへ声を出す。



「――わかった、これから行く」


携帯を切ると、ベッドに脱ぎ捨てたシャツを手に取った。



「――…帰るの?」

「ああ、仕事」


ベッドの中にいる女に返事をし、手早く支度を済ませホテルを出た。


夕暮れ近くなった秋の街、降りしきる雨の中会社へと車を走らせる。

ワイパーが拭うフロントガラスの雨は、しとしとどころかバラバラと音が聞こえるほどの激しい降りで、アクセルを踏む度道路に溜まった水が飛沫を上げて飛んでゆく。



――…まったく、昨日はやられた。


頭を過ぎるのは美しい背中とそれを見せつけるように抱く男の姿。


連れて来てくれと言ったものの、あそこまでやるとは思ってもみなくて。


彼女へ蕩けるような甘さを出しても、その本質は冷徹な経営者である兄。

昨夜のGLANC・グランでのあの人の振る舞いに、俺はまだまだなのだと思い知らされた。


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溺愛  激甘  イケメン  社長 

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