ご懐妊は突然に【番外編】
Wedding
「へー、よかったねじゃん、やっぱり常務に話して」

今日のランチは総さまと二人で、行きつけのラーメン屋に来ている。

「ありがとうございました。小坂さんのお陰です」

私は大盛りのラーメンをゴソっと箸ですくって食べる。

周囲に隠していたストレスが解消されたせいか、最近はすこぶる気分がいい。

その様子を見て、総さまはクスクス笑った。

「これが未来のしゃちょー夫人とはね」

私はジロリと総さまを睨みつける。

「褒めてるんだよー」

総さまが焼豚をくれたので、すぐさまご機嫌になる。

「んで、話しってなに?」

総さまはラーメンを啜りながら尋ねる。

「お願いがあるの」

私は上目でじっと見つめる。

こうすれば、総さまは断れないと知っているからだ。


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「で、総さまは承諾してくれたのか?二次会の幹事」

匠さんがベッドの上に上半身を起こし、雑誌に目を落としながら尋ねる。

お風呂に入ったので、スウェットのラフな出で立ちに眼鏡を掛けている。

「うん、バッチリ」

私はドレッサーの前に座り、お肌の手入れをしながら満面の笑みを浮かべた。

お義母さんが葛城家の権力を駆使し某外資系ホテルの会場を抑え、披露宴を強行する事となった。

残された結婚式までの日程は一ヶ月と少し。

披露宴に招待しきれない日頃お世話になっている方々のために、二次会まで開催することとなった。

その名誉ある幹事に総さまが選出されたのだ。

彼なら激務の間を縫って見事にお役目を果たしてくれるに違いない。

なんてったって出来る男だから。
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