藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】

その10 藤くんの優しさに触れた件

夏休みも終わり迎えたが、まだ夏の暑さを感じる残暑厳しい9月。


私は教室でいつものように麻美さんとのランチタイムを楽しんでいた。



「そういえば、またアンタの面白い噂を聞いたんだけど」


「え？何？」



私は愛飲しているフルーツオレを食後に飲んでいた。

食後はこれに限る。



「影山と美波に隠し子がいるって「ぶぶーーーーーーッッ」


ちょうどよいタイミングで口に含んでいたフルーツオレをギャグ漫画のように吐いてしまった。


「……美波、汚い」


「あっ、麻美さん、ごめんなさい……って、それより何その噂！？誰発信？また浜井くん？」


「いや、誰からかは知らないけど」



なんだなんだなんだなんだなんなんだ。
その根も葉も花も茎もないような噂は…


私はイライラしていたが、ふとあることを思い出していた。


あの花火大会の日に出会った……隼人くん。


って、


「私、あんな大きい子どもいるわけないでしょ！！」


「え？あんな大きい子どもって？」



麻美さんが、きょとんとした眼差しで私を見つめてきた。



「えっ、いやそれは……なんでも…ない…」