印堂 丈一郎の不可解な生活
不可解な決着
数日後。

私はあの決戦の舞台となった古城に訪れる。

今は立ち入り禁止の表示がされ、完全に崩壊した古城。

いずれは瓦礫も全て撤去され、更地に戻されるんだろう。

私達しか知らないあの死闘は、誰にも知らされないまま忘却の彼方に追いやられ、やがてはなかった事にされてしまう。

だけど、あった。

滅びの五人の一人にして最強の化け物と、只の人間でありながら勇敢に立ち向かい、戦い抜いた調息使いの死闘は、確かにここであったんだ。

誰が忘れても、私は忘れない。

絶対に忘れない。

そうだよね、丈一郎…。

< 211 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop