立花課長は今日も不機嫌

⑤気づいた恋心



出勤して間もない月曜日の朝。

別の階にある総務部へ書類を届けに行こうとエレベーター待ちをしているところで、こちらへ向かって歩いてくる立花さんの姿に気付いて思わず姿勢を正した。


距離が近づくにつれて、心臓を打つ音がトクトクトクと速さを増す。

立花さんはほんの一瞬合った視線はすぐに戻して、私のことを気に留める素振りもないまま。
すれ違う少し前に「おはようございます」と会釈をすると


「名乗りはするものだ」


立花さんがピタリと足を止めて、小さい声で一言告げる。


「……はい?」


何を言っているのか分からず、横顔を見上げた。


「ショートメールだ」


ーーショートメール。

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