立花課長は今日も不機嫌

⑥二人きりの夜



「ふぅ。ほんっと寝た人間って重いのねぇ」


スーツのジャケットを脱がせた立花さんをベッドに横たえた良樹さんは、手をパンパンと払って腰に当てた。

中身は女性なのかもしれないけれど、さすがに男性。
力はあるのだ。


良樹さんは、私からの電話ですぐにホテルへ駆けつけてくれたのだった。

気を失った立花さんを担ぎ上げ、たった今、立花さんの部屋に車で着いたところだった。



「……本当に眠ってるだけなんですよね?」


規則正しい寝息には聞こえるけれど、あんな風に突然目の前で倒れたら、私じゃなくても心配するだろう。


「杏奈ちゃんったら心配症ねぇ。大丈夫ったら大丈夫。何度も言うけど、海人はアルコールが入るといつもこうなのよ」

「それならいいんですけど……」

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