停滞していた色々なものが雨の日をきっかけに動き出していったわけだけど。

それぞれの想いを知って昔を思い出すと、切なさと温かさでいっぱいになる。

でもそこに悲しさはない。区切りはついているから。

「もう困らなくていいじゃない。悠悟の気持ちに答えてあげなよ。お姉ちゃん、悠悟のこと好きでしょう?」

「そ、そんな簡単に……」

「悠悟はずっとお姉ちゃんのことが好きだったんだよ? お姉ちゃん、わたしの気持ちに気づいたんだから、悠悟の気持ちにも気づいたでしょ」

指摘された姉は顔を赤くしてうつむいた。
わたしはその姿を穏やかな気持ちで見つめた。

「応援してるんだから」

悠悟のことも、お姉ちゃんのことも。

姉はわたしにちらりと視線を向けて、ため息を吐いた。

「もう……人の事だと余裕よね。わたし知ってるんだから。優奈、会社の専務と連絡とってるんでしょ」

「えっ!? ど、どうしてそれを……」

「悠悟からちょいちょい話を聞いてたの」

動じないというのは無理だった。さっきまで冷静だったわたしはひどく慌てる。それを姉はしたり顔で見てきた。

「詳しく教えてよ。『藤浪専務』のこと」

頬が赤くなってきたわたしは、必死にいつも通りになろうとする。

「わ、わたしのことはいいよ。それよりもお姉ちゃんと悠悟が気になるよ! ちゃんと付き合ってよ!」

「う、うるさいわよ。それはそれで、後でその、なにかあるかもで……もう! いいからお好み焼き残さず食べてよね!」


姉とわたしは二人で焦って顔を赤くしていた。
そして笑いあう。

思いやりのある優しい姉。自分と周りの気持ちに悩んで辛かったと思う。

よかった。こうして姉の安心したような、すっきりした表情を見ることができて――


話が盛り上がってしまったわたしたちは、夜中まで話をしていた。

姉は着替えも歯ブラシもしっかり持ってきていて、言った通りわたしの部屋に泊まり、次の日の朝、眠そうに出勤していった――

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