今日も専務室へ向かうためにエレベーターへ乗り、七階でドアが開くと佳世さんに会った。耀太くんの姿はない。

「あら、久しぶりね優奈さん」

「佳世さん、お久しぶりです。あ……エレベーター、どうぞ」

「ううん。車にね、ウサギ仮面のカードを忘れてきちゃったから駐車場に行きたいの。だからこれには乗らないわ」

「あっ、わかりました」

微笑んだ佳世さん。わたしはボタンから手を離す。エレベーターのドアは閉まり、上へと向かった。

「静希に呼ばれていたのね? いまちょうど耀太を連れてきたの。なるべく早く用を済ませて帰るわ」

「い、いえあの、そんな、気にしないでください」

慌てていると、ふふっと佳世さんが笑った。

「優奈さんみたいな人が義妹になったらいいのになあ」

「え?」

顔を上げると佳世さんは笑っていた。

「だって可愛らしいし、こう、なんだかついかまいたくなっちゃう感じだし」

「えっと……」

「ふふっ。あ、そういえばねわたし、四月から――」

言葉の途中でエレベーターのドアが開いた。
反射的に視線を向けると、一人の男性が降りた。あれ、この人は……。

「あ、お父さん。後で行こうと思っていたのよ」

「佳世か。耀太は? 来ているのか」

「うん。静希のところに」

わたしは『社長!』という顔をして固まっていた。

社長はグレーのスーツを着ていて、綺麗に後ろへ流している黒髪は品があり、表情は優しそうな感じ。

姿は入社式の時に見たのと、通路を歩くのを遠くのほうから見たことしかなかった。

社長が専務のお父様だと思うと、そわそわして仕方ない。

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