でもそろそろ何か喋らなくては。専務が不安そうな顔でわたしを見ていた。

「ありがとうございます……」

専務の表情はまだ変わらない。

「わたしも、もっと専務と……静希さんとの時間がほしいから……よろしくお願いします」

そう言ったら、専務はやっと安心した表情をしてわたしを抱きしめた。
しばらくしてから体を離し、目を合わせる。

「それではまず、君のご両親に会ってご挨拶をしたい。ずっとお話をしたいと思っていたんだ」

穏やかで真面目な声にどきっとした。

それは専務がわたしのお父さんとお母さんに会うということ。
いままで一度も恋人と両親を会わせるなんて機会を作ったことがない。

心配に思う。でも、専務の表情がとても真剣だから、わたしはうなずいた。

真っ直ぐわたしを見てそんなことを言ってくれる人、簡単には現れないと思うから。

「お互い忙しくしていた時から、君と住むことを考えていたんだ」

わたしを抱きしめた専務。 その温もりと想いに胸がいっぱいになる。

「君に会わないでいると調子がでないから」

控えめな笑いに応えるようにわたしも微笑んだ。

「嬉しいです。専務がそういう風に想ってくれて、考えてくれて」

すごく、幸せだ。こんなに素敵な人に想われているんだもの。
でもわたしなんかでいいのかなって思う。
だけど、専務がわたしに自信をくれる。

「俺のそばにいるのは君以外考えられない」

瞬間、目元が熱くなった。本当に、本当に、専務がわたしを必要としてくれているんだって。

その言葉に溺れたい。

「好きです、専務。本当に……ありがとうございます……」

涙を流してそう言ったわたしを、専務は優しい表情で見つめて目元を指で拭ってくれた。

出会った日からそうだった。

その指先はいつも、わたしを気遣って、温かくて、ときめきをくれる。

あの時のことからこうして繋がるなんて――

「優奈」

わずかに笑みを浮かべて囁いた専務。

「君が好きで仕方ない……」

これからも、ずっと繋がっていてほしいと思う――

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