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「こんのへっぽこが」

「痛っ!」

お昼休み。食堂でご飯を食べ終わってデスクでぼうっとしていると、後ろから頭を軽く叩かれた。

声の調子でわかったわたしは、叩かれた場所を押さえながら振り向いて相手を見上げる。
持っているファイルでわたしの頭を叩いたらしい。眉を寄せた不機嫌な顔をして立っている宮本 悠悟《みやもと ゆうご》はがみがみ野郎。

「お前もう入社して二年たつんだろ? どうして書類にこんなちんけな漢字のミスしてんだよ」

「ご、ごめん」

「ごめんじゃねえよしっかり見直せよ」

「うう……。ていうか悠悟、そうやってわたしには凄く厳しいよね。他の人のことはファイルで叩いたりしないじゃん!」

「お前がくだらないミスばっかするからだ。そして会社では“宮本主任”だっていってんだろ」

イライラしながら書類をデスクに叩きつけるように置いた悠悟にわたしは口を尖らせた。

「いいじゃないですか。昼休みだし」

「よくねえよ」

悠悟ははあ、とため息を吐く。

「まったく、美穂子もお前も本当生意気でどんくさいよな」

「どんくさくない!」

わたしはむすっとした顔をしてから視線をそらした。
だって、彼の口から姉の名前がでると、ちくりと胸が痛むから――。

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