金曜日は朝からそわそわしていた。

まだ午前中なのに時計を気にしてしまう。
普段よりも時間が進むのが遅いと思った。

お昼休みになって真美と食堂で焼き鮭の定食をたべ終わり、まだお昼なんだよねと、深く息を吐いた。

すると、正面にいた真美がわたしの顔を見て首をかしげる。

「どうしたの? なんだか今日の優奈、上の空のような気がする」

「え? そ、そうかな」

動揺してしまった。
確かに、今日のわたしは気になることがあって集中力がないかも。

早く勤務時間が終わってほしい。クリーニング店に専務の上着を取りに行って、専務に返さなきゃと思うから。

それにしてもさすが真美。よく気づく。
いや、もしかしてわたし、わかりやすいのかな。

心の中で反省して、午後は時計を意識しないようにしていた。

三時ごろ、悠悟がわたしのデスクにやってきて、残業できるか聞きにきた。
体を悠悟の方に向けて、少しだけ脈が速くなるのを感じた。

「今日残れるか?」

「えっと、ごめんなさい。今日はちょっと無理です。持って帰っていいならできるけど……」

わたしは申し訳ないという顔をしながら言った。

「そうか。ならいいや」

そう言った悠悟は少しの間わたしを見て、それから自分のデスクに戻っていった。

わたしは前を向いたけど、すぐにちらりと悠悟を見る。

悠悟から残業を頼まれたら得意になって引き受けて、悠悟とオフィスで残って過ごす時間が仕事でも嬉しいと思っていた。

でも今日は、藤浪専務に上着を返すことを優先しなければと思った。

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