最高の恋の見つけ方
私、中谷絵里は今駅に向かって歩いている。心臓がはげしく音をたて、呼吸は不規則に乱れているのがわかる。


私はあの人にはさからえない。それはもう決まっていることで、抵抗するふりさえ、もう出来ない。


電車に乗ってから 私は葵くんにメールを打った。


ごめんね、ちょっと風邪ぎみだから今日はおうちでゆっくりするよ(´；ω；｀)


こんな嘘が平気でつける私は、葵くんの彼女でいる資格なんてないんだろう。そして 私の頭の中は彼のことでいっぱいだ。彼、北村純の漆黒の艶やかな髪に早くふれたくて、 苦しい。


駅の改札を出ると、彼がいた。


私は少しでも早く純に抱きしめられたくて駆け出した。


純は私を見つけると、こういうのも悪くないね、と私の耳にささやいた。何人かの女の子が私たちに視線を向けているのがわかる。


純はとても美しい顔をしているから。


美しいだけではなくて、物憂げで、官能的な瞳をしている。


「今夜は、いっぱい愛してあげるから覚悟しておいて」


そう言って彼は私の頬にキスした。



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