黄昏と嘘
・帰るところ





これで……荷物もどうにかまとまったかな。
まあ、もともとそんなにたくさんの荷物じゃないし。


そう思いながらチサトはため息をつき、以前のモモカとのルームシェア解消のことを思い出す。
荷物をまとめ、出て行くことは同じであっても今回はあのときまた違う胸の痛みがあった。

ふとカレンダーに目を向ける。
今日、彼女が来て出て次の週末までに行こうと決めてから一週間目だ。

出て行くことに関しては彼女の心にまだ迷い、戸惑いがあったが今日に出て行くと一週間前に決めたのだから、日を変えてしまうともう二度とで行けなくなってしまう。
いつまでも何も言われないからとここに残り、アキラに嫌な思いをさせ続けるわけにもいかない。

アキラがチサトを避けているように感じるのはあの夜、やはりアキラは自分の立場を考え後悔しているに違いないからだろうと考えていた。
チサトはもちろん、後悔しているつもりはない。

そしてチサトがアキラを避けているのはその翌日に彼女が来たとき、しゃばってしまった自己嫌悪感をどうしても拭いきれなかったという理由からだった。

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