“毒”から始まる恋もある
1.恋は戦い


恋多き女っぽいとか、怖いモノなさそうとか、がっついてるとか。

いつも散々に言われるけど。


そんなことないのよ。

男も女もイメージだけで決めつけてくるから嫌だわ。

私は、真剣に恋をしていただけなのに。










【刈谷史恵様
誕生日パーティを企画しています。
仕事が終わったら来てね~】


 まだ冬の風が吹く三月。
会社を出ようとした私は、受け取ったメールをみて一瞬絶句する。

差出人は同期で営業事務をしている彩音(あやね)だ。

確かに、ランチの時に夜は暇かと聞かれていた。

独り者に誕生日の夜の予定の空きを確認するなんてなんて嫌味な、と思っていたらそういう企画だったのか。


【了解】


と返したものの、出るのはため息だ。


そうよ。
誕生日なのよ。
今日から三十なのよ。

誕生日に一人なのは辛い。
だったらせめて仲間で盛り上がってって気持ちはまあありがたい。

それが二十九歳の誕生日なら私も嬉しかった。

でも三十歳なのよ。
なんとなく自分でも自虐的になっちゃう歳になったの。

でもまだまだ若いし今どき三十で独身なんて当たり前だし、とか言えないこともないけど、言った後ため息が出ちゃうような歳なのよ。


< 1 / 177 >

この作品をシェア

pagetop