“毒”から始まる恋もある
7.朝から一緒に

……なんだか頭がガンガンする。

そんなに飲んだかな。あー、飲んだわ。思い出した。
ワイン瓶ほぼ一本空けたんだった……って、そう、それは徳田さんと一緒に飲みに行って……。


「史ちゃん、起きた?」


慣れない呼び名に、意識が一気に浮上する。

目を開けると、視界には見慣れない天井……いや、見慣れてないこともないか。一般家庭にあるのよりは豪華な感じのシャンデリア風の電灯、それに見合う模様入りの壁紙に、大きなベッド。

……ここ、どこだ?

足元の方角からはテレビの音。男性司会者の騒がしい声が頭に響いてうるさい。
私がいるのは、柔らかく弾力のあるベッドの中央。
そして端の方で体を大画面のテレビの方に向けて座っているのは……


「……徳田さん?」

「どう? 具合悪ない?」


振り向いて、明るい声で徳田さんが尋ねる。私は横になったまま辺りを見回した。
私の部屋じゃない。でもどう見てもここはホテルだ。しかもフツーのホテルではなく、ラブホテル。
だって、ガラス張りの壁の向こうにお風呂が見えるもん。


「私……」


シちゃったのか?
頭が痛くて、まともに考えられないな。

別に相手が彼ならばいい……のだけど、ベッドの中の自分はきちんと服を着たままだ。


「ゴメンなぁ。急に倒れたもんで、手近なとこで宿とったんやけど。やっぱ、この手のホテルじゃ嫌やった?」

「ううん。ごめん、私、潰れちゃったのね」

「俺、飲ませすぎたしな。でもなんもしてへんで。意識のない女の子に悪さできるほど度胸ないし」


照れくさそうに頭をかく彼。
あら、軽そうに見えてこれは好感度アップ。

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