矯国戦慄 ~李国と阿弥国の陰謀~
第1章

李国と阿弥国


時は戦乱……

―――力を駆使し、土地を求め、争いが絶えない時代。

大きい国同士の争い
小さな国同士の争い
大きい国と小さい国の争い

それぞれの国は勢力拡大に向けて、戦争を繰り返していた。

かつて十数年前には国は25国存在していた。

―――が、戦争が頻繁に起こってからは

国は10しか残らなくなっていた。

どの国も同じで、戦争をし、土地を得、力を膨大になっていった。

ここ、來参(さいざん)には"三天器"と呼ばれている力が存在している。

神器、国器、魔器の三つである。

絶大な力が宿る"三天器"が確認されたのは、たった3国。
どこにあるかもわからない力にそれぞれの国は躍起になって"三天器"を探そうとしていた。

国の中でも一番念入りに探索をしていたのは、李国(りこく)と阿弥国(あやこく)。

"三天器"は確かに絶大な力が宿っているのだろう。
現に"三天器"の一種を持っている3国……
冠国(かんこく)と碧国(へきこく)、撰国(せんこく)の勢力が広がっている。

いずれは李国も、他の国も……滅ぼされるだろう。

……そう思ってはいるものの。

俺は"李国の天剣"と呼ばれている、白俊(はくしゅん)であり、李国を代表する左将軍でもある。


国が滅ぶことを考えるなんて……らしくないか。

―――コンコン

「白俊殿、馬羅斉(まらさい)殿がお呼びです」

お呼びがかかったか。
ここは、俺の部屋。

左将軍が居座る大部屋…"天候室"と呼ばれる部屋のこと。
わざわざここまで兵士が来るということは、緊急の用を意味する。

しかも、参謀師の馬羅斉である。

「分かった。自分の持ち場に戻れ」

俺の言葉に兵士は、ははっ!と言って部屋の前を立ち去る足音を聞き届けてから部屋を出る。

馬羅斉は李国の参謀師であり、李王とは同期にあたる親友とも呼べる仲である。


こんなとこまで兵士を寄越して……

―――一体なに用なんだ。


部屋を出て、右の大道を通り、階段を下りていく。

階段を下りていくと、白く広々とした大広間がある。


―――その大広間に馬羅斉が立っているのが見てとれた。






< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop