「だから俺様も、あいつの直らない部分は受け入れようと思う。人間、わかってても変えられないことがあるからな。あいつの無理な努力も、自分では無茶だと分かっていても止められないんだ。あいつの努力は誰にも止められない。あいつ自身にも、俺様にも。だから、俺様は、…あいつの死に物狂いの努力を、受け入れる。見苦しくて嫌いだがな」


そう言って、階段を上り始める。


「……」


好きなところは勿論受け入れる。

嫌いなところは指摘する。

指摘しても直らないなら、受け入れる。

許容する。

ナンパとゲンキと言う二人の関係は、こうやって出来ていたのだ。

こんな、何処にでもある当たり前で、ありきたりで、でも、とても難しいことを、二人はやって、今の関係にあるのだ。



階段の上―――踊り場に立ったナンパの背を見て、呟いた。



「遠いなあ…」


「何か言ったか?」


振り返ったナンパに、笑いかける。


「あんたの背中が遠いよ」

「あ?…じゃあ早く上がってこいよ」


ナンパは俺が階段の下にいるから、自分との距離が物理的に遠いのは当たり前だろうと思ったそうだ。

だから早く上がってこいよと言った。

でも俺は、精神的に遠いと思ったのだ。

けれど、"早く上がってこいよ"と言う言葉は、物理的な距離を思うナンパからの言葉だとしても、俺には違う意味のように思えたのだ。


「すぐ追いつくよ!」


俺は階段を上る。

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