生命体であろうと、心を乱さなければ、非生命体に触れている時と全く同じ感覚で、皆と触れ合えると。


少し観察した程度のダンの言葉は、簡単に呑み込めるものではないが、それでも…。


あんたを信じよう、ダン。


何かをしなければ、俺はずっとこのままなのだ。

左腕を恐れ、何かに怯え続ける生活を死ぬまでしていかなければならないのか?

それは嫌だ。



この日から、俺と部員の間では、極力左腕を使ってのコミュニケーションをする、と言う挑戦を試みることに決めた。

その初めの第一歩。

そのハジメの第一歩ってか?

うるせえ。


「っ……」


険しい顔をしつつも、左腕を恐る恐る差し出す。


「?」


ハジメが首を傾げるので、俺も首を傾げた。

俺、なんかダメなことしちゃった?


「ほれ」


ハジメはもう少し先に俺に手を伸ばして、握手を求める。


「なんで握らん?」


俺から握んなきゃいけないのか。

初っ端から難易度ハードモードだな。


「………」

「ほれ、握手」

「……ぐ、……ぐぐぐ……ぅううぅ…ぅ、………セイヤァッ!」


ヤケクソにも似た勢いで、ガッチリ手を取った。

俺は一生握手会出来そうにない。

あ、右手で出来るか。


………。

……。

…。

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